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『ブイプラス』記事より

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■ その想い、伝わっていますか? 第1回 「会うって結構大変なことなのだ。」横林 英勲

  01-sonoomoi-top.jpg「そういうことだったのですか...」。
自分ではちゃんと伝えたつもりなのに...その場では確かに伝わっていたと感じたのに...実は相手が勘違いしている、というケースに直面したことってないか。
よくあるのは、メールだけで謝罪をしたら、相手が怒ってしまった、電話で案件の詳細をちゃんと説明したのに、どこかで食い違いが起こってしまっていた、というようなこと。
最近は、高度な情報化社会となり、なんとなくわかったように聞こえる情報がウェブサイトやメールマガジンなどを通じて、毎日のように勝手に流れてくる。さらにメールという、いつでも言いたいことを打って一方的に送れるツールが定着したおかげ(メールを否定するわけではないが)で、相手と接していなくても仕事ができるようになった。結果、忙しくなった(涙)。忙しいということはビジネスサイクルが早いということなので、経済効果としては嬉しいこと。しかし、その裏でメールなどの簡易なコミュニケーションツールの発展が、コミュニケーションロスの発生を加速させてはいないか。
先に述べた例では、自分の思っている謝罪の気持ちを伝えるのにメールというコミュニケーションツールの選択は正しかったのか、次の件では、重要な詳細情報を伝えるのに後で相互確認がとれない電話というツールでよかったのか、ということを省みてほしい。だからといって私たちはいつも「会う」という選択肢を選ぶわけにはいかない。
ここで、私たちが日常で使うコミュニケーションツールの特徴をそれぞれ考えてみよう。
まず、基本となるのが「会う」というコミュニケーション手段。自分にも相手にも時間的拘束を多くかけてしまうが、感情を含めて情報をより正確に伝えることができる。また「電話」は、時間的拘束はあるが、相手さえ出てくれればすぐに使え、「会う」より情報量は少ないものの受け手の反応も音声を通して感じられる。そして「メール」は相手への時間的拘束なくすぐに送れ、さらに記録として残るが、文字情報という限られた記号で伝えるため情報量は少なく、受け手の理解力に委ねる部分も大きい。そして「FAX」は、メールを紙の状態で送るのに近い。
このように一つずつ考えていくと、コミュニケーションツールには、その特性によるメリット・デメリットが浮き上がってくる。
私たちが直面するコミュニケーションロスは、それを知らずに利用する、つまりコミュニケーション手段の選択を間違うことで、発生することも多いのだ。 そもそもコミュニケーションとは、情報(意思・感情・思考)伝達のこと。動物であれば、身振りや鳴き声(音)や超音波などを使って情報をやり取りする。原始時代の人類も同様に表情や身振り、手振りだけでコミュニケーションを取っていた。これが、まさにFac e to Fac eでのコミュニケーションである。だが、会って顔をつきあわせるだけでは、伝わるのは単純な感情程度。それ以上の詳細な情報を伝えるために人は、言葉を使い、やがて文字や絵でイメージを可視化するようになる。そして、情報の伝達の終結を相手の推測力にゆだねるのだ。
しかし、それはいつも十分ではない。元々のコミュニケーションで使っていた表情や身振り、手振りでのコミュニケーションがないため、相手が、その推測を誤ってしまうこともあるからだ。
ここで、「会う」ということについて、もう一度考えてみたい。
「会う」というコミュニケーション手段は、環境・時間・距離に依存する部分が大きい。遠くにいるビジネスパートナーに会うには、相手の時間を確保して、いつもの仕事の時間を削って、移動時間を確保して、移動手段を選択して、会いに行かなければならない。
コミュニケーションとは、何を伝えるかであり、その方法ではない。情報化社会のなかで、本来のコミュニケーションが知らず知らずのうちにコミュニケーションツールに制限されてしまっていることはないだろうか。
現代を生きる人間として、そもそも目の前にいる相手に何を伝えたいのかをよく考えて、コミュニケーション手段を選択する。そして、会わなければ伝わらないと判断すれば、もしくは、会えば伝わるという希望がみえるのであれば、苦労してでも会いに行く。
「会う」って結構大変なことなのだ。そして実は、非常に貴重な行動である。
「会う」以外のコミュニケーション手段が溢れる今だからこそ、膝を突き合わせて会うこと自体の重要性を考えたい。そこには、今だからこその「会うこと」自体の価値の高さへの再認識もあるだろう。
もう一度本来の「伝えたい」コミュニケーションについて考えてみてほしい。

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